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潰瘍性大腸炎の外科治療


潰瘍性大腸炎の手術適応は

近年の潰瘍性大腸炎の内科治療(薬物療法)は著しい進歩があり、手術を回避できる患者さんが増えました。一方で、一定の割合で手術が必要となる患者さんがいます。一般に潰瘍性大腸炎の患者さんに手術が必要となる割合は全患者さんの約10%です。近年、長期罹患による癌の合併や高齢発症などの問題もクローズアップされています。患者数自体の増加もあり、全体としての手術件数は減少していません。そのため手術のタイミングを初期の段階から内科と連携し計画的に行っていく必要があります。

潰瘍性大腸炎の手術適応

手術の方法

時代の変遷とともにより低侵襲で整容性に優れた腹腔鏡大腸全摘J型回腸嚢肛門(肛門管)吻合+回腸一時的人工肛門造設術を標準手術としています。
緊急手術の場合は救命が優先となり開腹手術や3期分割手術が選択されます。
3期分割手術は全手術を完了するまで6-12ヶ月を要します。待機中のQOLも損なわれるので、「なるべくなら避けたい手術」というのが外科医の本音です。

  • 1期手術=大腸全摘+J型回腸嚢 stomaなし
  • 2期分割手術=1期+回腸ストーマ(diverting)
  • 3期分割手術=
    1)結腸全摘+回腸ストーマ 、直腸粘液瘻(直腸はとらない)
    2) 残存直腸切除+J型回腸嚢+回腸ストーマ(diverting)

J型回腸嚢とは

便の貯留行うため回腸をJ型に曲げて内部を袋状に加工して肛門と吻合します。
以前はS型やW型もありましたが、現在では世界的にJ型が主流です。

手術後について

手術後は90%以上の方で食事を含めた日常生活に大きな制限がなく、就労や就学、家事・労働なども概ね可能となります。それまで使用していた生物学的製剤や免疫調節/抑制薬など潰瘍性大腸炎の治療薬はほとんどの方で不要になります。便に関しては、個人差はあるものの一日平均回数が5〜6回程度で、便が水様または泥状であることが多く、10%程度の方で少量の便漏れがある場合もありますが、経時的に改善します。下痢止めや整腸剤を内服する方もいますが、大多数の方は外出や旅行も制限なくできます。
頻度は高くありませんが、小腸で作成した回腸嚢の炎症(回腸嚢炎)や腸の癒着による腸閉塞などの合併症が生じる場合があります。 手術後は潰瘍性大腸炎の治療のための通院の回数や入院の機会も減少し、日常生活の幅がひろがることが期待できます。