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膵癌について①


膵臓とは

膵臓は胃の裏側にある長さ20cmほどの左右に細長い臓器です。
膵液など食べ物を消化するための消化酵素を産生する外分泌機能と、血糖や消化液の量を調整するホルモン(インスリン、グルカゴン、ガストリンなど)を分泌する内分泌機能があります。

膵癌とは

一般的に、膵管という膵液を運搬する管に発生するものを(通常型)膵癌と呼びます。膵腫瘍には膵神経内分泌腫瘍や粘液産生腫瘍などがありますが、通常型膵癌が最も頻度が高い腫瘍です。膵臓は頭部・体部・尾部と3つの部位に分けられますが、いずれの部位にも発生します。
膵臓癌の患者数は男女ともに第6位で、肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌、肝癌といった五大癌には含まれていませんが、癌による死亡順位で見ると男性5位、女性3位となっており、最も予後が悪い癌の一つです。肝臓癌と胃癌が減少傾向にあることを考えると、将来的には肺癌、大腸癌についで第3位の死亡原因になることが予想されています。

膵癌の高リスク患者さんとは

糖尿病、特に高齢になってから発症した糖尿病や、急激な糖尿病の悪化は膵臓癌の高リスクといわれています。肥満、特に若い頃からの高度肥満は膵臓癌の高リスクといわれています。喫煙もリスクを高めるといわれています。大量飲酒によって引き起こされる慢性膵炎も10倍程度リスクが高いといわれています。親・兄弟姉妹・子供に2名以上の膵臓癌の方がいらっしゃる場合、約6倍程度のリスクがあるといわれています。

膵癌の特徴

膵臓の周囲には動脈や静脈、神経などがあり、進行するとこれらの器官に浸潤(癌細胞が拡がること)します。また胃や大腸などの臓器が隣接しており、これらの臓器に直接浸潤を来すこともあります。膵癌は進行すると他臓器への転移することがあります。転移の仕方は血行性転移、リンパ行性転移、腹膜転移の大きく3通りが考えられています。腫瘍の大きさや周囲組織への浸潤の程度、他臓器への転移の程度により進行度が分類されています。

膵癌の症状

早期には無症状であることが多く、訴えとして上腹部の違和感などの不定愁訴がみられます。進行すると体重減少や黄疸(皮膚や尿が黄色くなること)、糖尿病の悪化などの症状が出現し、膵癌と診断される事があります。さらに進行すると、腹水(腹腔内に水が溜ること)などが出現します。

膵癌の検査

腹部超音波検査

腹部超音波検査は侵襲が少なく、膵腫瘤や膵管の拡張を発見するのに有効であり、最初に考慮される検査です。

血液検査

腫瘍の局在や進行の程度により、肝胆道系酵素(ビリルビン、AST、ALTなど)の上昇を認めることがあります。膵臓の頭部には胆汁の通り道である胆管が走行しており、腫瘍による胆管狭窄などの影響が反映されます。腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、SPAN-1、DUPAN-2)の上昇が見られることもありますが、早期では上昇しないこともあり、正常値でも癌を否定することは出来ません。

CT検査

造影剤を用いた造影CT検査では、膵癌の局在や大きさを確認することが出来ます。また、周囲臓器や血管への浸潤の有無などの情報も得ることが出来ます。しかし、腫瘍が5mm以下と小さい場合には、膵癌の指摘が困難な場合があります。CTでは膵臓と周囲血管の位置関係を把握することが出来るため、その後の手術等の治療に有用となります

MRI検査

CT検査の情報に加え、腫瘍の性質を知ることが出来ます。また、膵管や胆管の走行なども把握することが出来ます。

内視鏡的逆行性膵管造影(ERCP)検査

CT検査で膵癌が疑われた際に、膵管に直接カテーテルを挿入し、膵管から細胞を採取して診断の参考にしています。

超音波内視鏡(EUS)検査

胃や十二指腸まで内視鏡を進め、膵臓により近い位置で行う超音波検査です。この超音波をガイドにして、細い針を直接膵臓に刺して細胞を採取する方法(EUS-FNA)があります。