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留学体験記 小嶋忠浩先生


Study Abroad Experience(Dr.Kojima)

外科学第二講座の国内留学として2019年4月~2022年3月にかけて静岡がんセンター大腸外科でレジデントとして研修して参りましたので紹介させて頂きます。

動機

このたび、2019年4月~2022年3月にかけて静岡がんセンター大腸外科でレジデントとして研修をさせて頂きました。私は2013年に浜松医科大学を卒業して第二外科に入局後、県内各施設で研修をさせて頂き2018年に大学にレジデントして戻りました。当初は1年間の病棟レジテントが終了しましたら、大学院への入学を考えておりました。しかし、臨床を一時的に離れる前に是非と思い立ち、以前から関心があったがんセンターへ国内留学を選択させて頂きました。

静岡がんセンターの特徴

初めに簡単になりますが、施設の紹介をさせて頂きます。静岡がんセンターは静岡県東部・長泉に所在し、伊豆縦貫道を介して東名高速道路や、新幹線を使えば東京へのアクセスが意外と良い場所に位置しております。がん治療に特化した診療科が揃っていますが、感染症内科や緩和医療科等の診療科も充実しており、そちらでの研修を積むレジデントも多数います。私が研修をさせて頂いた大腸外科ですが、特色としてはロボット手術が盛んに行われ、手術件数として原発性大腸癌を年間約500例、ロボット手術は年間約150例行っております。大腸外科レジデントは9名程度在籍、卒後6年目~12年目辺りで全国から集まって来ています。医局に属されていない方や、大学院を卒業されている方、チーフレジデントまで研修して5年間在籍している方等、様々な背景を持っていますが、各自の目標に向けて修練しています。

修練

具体的な研修内容を紹介させて頂きます。レジデントコースは3年間で、そのうち1年間は他科ローテート(麻酔科含む)、2年間は主科を回ります。他科を1年間どのように回るかは自由選択で消化器外科全般を回るレジデントや、先に挙げたように緩和医療科等を選択する方もいます。私は泌尿器科と病理科を選択致しました。泌尿器科は骨盤外科の知識を深めるために選択しましたが、泌尿器科は学生時代にポリクリで研修して以来でした。その時の印象とはだいぶ変わり、非常に面白く感じました。手術手技も勉強になりましたが、同じ解剖でも名称を指し示す言葉が大腸外科とは異なったり、興味深いものでした。また、私は今まで一回も病理診断をしたことがなく、切り出しから学ばさせて頂きました。短期研修で出来るようになることは限られていますが、良い経験をさせて頂いたと思っております。

大腸外科での研修ですが、レジデントは外来業務がなく、化学療法等も完全に消化器内科が担当していますので、手術と周術期管理がメインの業務になります。病棟管理が済んだらほとんど手術室にいることができます。過去の自分の研修生活を振り返っても、手術室で学ぶ時間を一番確保できたのではないかと思います。大腸外科では基本的に手技が定型化されておりその習得からまず始まります。4カ月経過したことろから右側結腸切除、6カ月経過したところから左側結腸切除の執刀権を得ることができます。直腸癌に関してはロボット手術がメインになります。手術手技を言語化することを重視しており、手術指導は丁寧にして頂けます。定期的に院内(院外)ビデオクリニックが開催されたり、それ以外でも医局内で手術ビデオをレジデント同士で確認したりもしています。また、自分で執刀する機会はありませんでしたが、他臓器合併切除や再発手術、骨盤内臓全摘等の拡大手術の症例を経験できたことは勉強になりました。これらの症例を殆ど経験したことがないため、手術手技だけでなく、治療計画や手術時のストラテジーの難しさを感じました。それらを根治性や患者の忍容性とのバランスを考えて、初めて手術になります。目の前の手術だけでなく、患者一人一人に対して治療全体まで考えられるようになりたいものです。
施設面としては医局内にデスクと電子カルテが1人1台完備されており、快適にデスクワークができるようにされています。学会発表の機会も多いですがこのおかげで効率よく仕事ができます。働き方改革も進んでおり、有給休暇も取りやすくなっております。環境としては非常に働きやすく感じます。また、がんセンターなので当然ですが、本当にがん診療しかしません。救急外来も基本的には通院患者や担癌患者になりますので、かなり特殊な環境といえます。コロナ禍で手術件数が減少したり、対応が通常と異なる部分もありましたが、集中的にがん治療を学ぶことができて大変有意義な時間を過ごすことができました。
最後に国内留学をするにあたって快く送り出して頂いた竹内教授、倉地先生、医局の諸先輩方にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。また、大学で様々な業務に励んでもらっている同期・後輩の先生達もありがとうございました。
研修の成果を今後に活かしていくのはもちろんですが、改めて患者に優しく思いやりのある治療を届けていきたいと思いました。

小嶋忠浩