上部消化管外科
臨床研究
①食道癌に対するロボット支援手術の有用性の検討
②食道癌術後栄養状態の変化と予後との関連の検討
③進行再発食道癌・胃癌に対するニボルマブ治療中の免疫関連有害事象(irAE)や栄養状態と有効性の関連の検討
術前Prognostic nutritional index (PNI)高値（Group H）、術前PNI低値かつ術後PNI高値（Group L-H）、術前術後PNI低値（Group L-L）の生存曲線の比較
④National Clinical Database (NCD)データを用いた、消化器外科手術におけるGlasgow prognostic scoreと術後短期成績の関連、および食道切除術における再建経路と術後合併症との関連の検討
現在実施中の主な臨床試験
| 研究課題名 | 進捗状況 |
| Clinical-T1bN0M0食道癌に対する総線量低減と予防照射の意義を検証するランダム化比較試験（JCOG1904） | 登録中 |
| 臨床病期I-IVA（T4を除く）胸部上中部食道扁平上皮癌に対する予防的鎖骨上リンパ節郭清省略に関するランダム化比較試験（JCOG2013） | 登録中 |
| 食道胃接合部腺癌に対するDOS or FLOTを用いた術前化学療法のランダム化第II/III相試験（JCOG2203） | 登録中 |
| 術前化学療法後に根治手術が行われ病理学的完全奏効とならなかった食道扁平上皮癌における術後無治療/ニボルマブ療法/S-1療法のランダム化比較第III相試験（JCOG2206） | 登録終中 |
| 食道切除術前における短期強化栄養運動療法の有用性についての臨床研究（STEP-NEXT） | 登録中 |
| 切除可能進行食道扁平上皮癌[cT1N1-3M0-1(M1は鎖骨上リンパ節転移陽性によるM1のみ許容), cT2-3N0-3M0-1(M1は鎖骨上リンパ節転移陽性によるM1のみ許容)] を対象とした5-FU+ロイコボリン＋オキサリプラチン＋ドセタキセル（FOLFOX+DTX）の併用療法による術前補助化学療法の第II相試験 | 登録中 |
| 臨床病期IB/II/III食道癌（T4を除く）に対する術前CF療法/術前DCF療法/術前CF-RT療法の第III相比較試験（JCOG1109） | 登録終了 |
| 切除不能または再発食道癌に対するCF（シスプラチン+5-FU）療法とbDCF（biweeklyドセタキセル+CF）療法のランダム化第III相比較試験（JCOG1314） | 登録終了 |
| 臨床病期I/II/III食道癌（T4を除く）に対する胸腔鏡下手術と開胸手術のランダム化比較第III相試験（JCOG1409） | 登録終了 |
| 切除不能局所進行胸部食道扁平上皮癌に対する根治的化学放射線療法と導入Docetaxel+CDDP+5-FU療法後のConversion Surgeryを比較するランダム化第III相試験（JCOG1510） | 登録終了 |
| 早期胃癌に対するセンチネルリンパ節を指標としたリンパ節転移診断と個別化手術の有用性に関する臨床試験（先進医療B） | 登録終了 |
基礎研究
①消化器がんの浸潤、転移機構の解明
浜松医科大学および静岡県立静岡がんセンターで切除されたpT3食道扁平上皮癌の病理組織検体を用いて至適周囲切除断端（CRM）の検討を行い、従来のThe Royal College of Pathologists (RCP) criteriaおよびThe College of American Pathologists (CAP) criteriaと比較し、術後の局所領域再発を予期し得る優れた指標として、CRM 600 µmの有用性を報告いたしました。
②血中循環腫瘍細胞（CTC）の検出を目指した機器の開発
リキッドバイオプシーのターゲットの一つとして注目される血中循環腫瘍細胞（CTC）の検出を目指した機器の開発を、浜松ホトニクス社と共同で行っています。従来の、細胞表面マーカーを用いてCTCを同定するpositive selection法ではCTCの取りこぼしが生じることが報告され、末梢血中の有核細胞から白血球を除去、または非白血球と識別することでCTCを同定するnegative selection法が必要とされています。当科では定量位相顕微鏡(QPM)を用いて非標識下に高解像度で細胞の形態情報を抽出し、人工知能(AI)を用いた画像認証による白血球とCTCの識別を目指しています。これまでに、2次元QPM技術を流路に応用して2D位相イメージングフローサイトメーターを開発し、AIにより高精度でヒト白血球と疑似CTCを識別できることを確認しました。また、健常人と比べ担癌患者で非白血球有核細胞の比率が高いこと、進行食道癌患者において術前化学療法や手術によって同細胞比率が変化することなどを報告いたしました。現在も浜松ホトニクス社と共同研究を継続して行っており、3次元OPMを用いた新たなCTC識別システムの開発、臨床実用を目指しています。
2D位相イメージングフローサイトメーターの概略、および健常人と癌患者における末梢血有核細胞中の非白血球分画比率(NWBC-FR)の比較
論文
- Usefulness of wearable fitness tracking devices in patients undergoing esophagectomy. Esophagus. 19(2):260-268, 2022.
- Short-term outcomes of robot-assisted minimally invasive esophagectomy compared with thoracoscopic or transthoracic esophagectomy. Anticancer Res. 41(9):4455-4462, 2021.
- Survival impact of perioperative changes in prognostic nutritional index levels after esophagectomy. Esophagus. 19(2):250-259, 2022.
- Impact of immune-related adverse events on nivolumab efficacy in patients with upper gastrointestinal cancer. In Vivo. 35(4):2321-2326, 2021.
- Neutrophil-to-lymphocyte ratio to predict the efficacy of immune checkpoint inhibitor in upper gastrointestinal cancer. Anticancer Res. 42(6):2977-2987, 2022.
- Significance of the Glasgow prognostic score for short-term surgical outcomes: A nationwide survey using the Japanese National Clinical Database. Ann Gastroenterol Surg. 5(5):659-668, 2021.
- Impact of reconstruction route on postoperative morbidity after esophagectomy: Analysis of esophagectomies in the Japanese National Clinical Database. Ann Gastroenterol Surg. 6(1):46-53, 2022.
- Development and validation of the optimal circumferential resection margin in pathological T3 esophageal cancer: A multicenter, retrospective study. Ann Surg Oncol. 29(7):4452–4461, 2022.
- Artificial intelligence-based classification of peripheral blood nucleated cells using label-free imaging flow cytometry. Lab Chip. 22(18):3464-3474, 2022.